お薦めのこの一冊

 

養老孟司の<逆さメガネ>

敵討

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養老孟司の<逆さメガネ>  推薦人 咲摩定夫支部長
 
書名 養老孟司の<逆さメガネ>
著者 養老 孟司
発行所 PHP研究所
価格  680円

 著者の養老孟司は言わずと知れた今年最大のベストセラー、250万部を突破した『バカの壁』の著者です。
これはキリスト教イスラム教にみられる一方的一神的価値観に疑問を呈した解剖学者の論ですが、彼はこの書のほかに、『まともな人』という社会批評の新書版を最近出しています。
 これら三部のうち、案内の『逆さメガネ』は、字が大きく文章もこなれていて最も読みやすいと思います。ちなみに彼の文章は比較的わかりにくいのです。
 さて、内容ですが、これは著者流の教育原論です。すなわち教育とは何かを問うているものです。
 彼はこう言います。     
  『いま、教育を考えるときに、いちばん大切なことは、なんでしょうか。それは、子どもは人間が意識的に作ったものじゃないということ、つまり「自然」だということです。どうして子どもは自然か。自然の反対は人工ですが、人工とは要するに人間が意識で考えた事です。戦後の日本では、自然はひたすら壊されてきました。・・・いわゆる自然
崩壊です。いまの社会では、自然そのものには「価値がない」のです。お金にならないかぎり価値がないということ、それ自体には価値がないということです。子どもが「自然」に属するものなら、そういう傾向(自然崩壊)とまったく同じことが、教育にも起こったのではないでしょうか。』
 私はこういう教育論にはじめて接しました。目からウロコがおちた思いでした。
 このほか、『個性とは身体にある』 『心に個性があると思い込むムダ』 『現代社会の常識は「変わらない私」』 『科学ですべて予測できるという思い込み』など、常識は不確実でややもするとあやしいという逆さメガネの見方がちりばめられています。
 又、身体と心に関する論は、お道の教えに近いものがあるように思います。
 ここ数年読んだ本の中でいちおしの一冊です。

 
敵討   推薦人 咲摩定夫支部長

書名 敵討
著者 吉村 昭
     新潮文庫
価格   400円

 二つの短編が収められている。どちらも江戸時代の武士の復讐事件を描いている。標題作の「敵討」は、天保・弘化年間に江戸の護持院ヶ原であった敵討。もう一篇の「最後の仇討」は、江戸時代といっても幕末ぎりぎりの慶応4年(1868)を発端とし、明治13年(1880)に決着するという過渡的な時世の出来事である。
 冒頭の『天保9年(1838)11月24日八ッ(午後2時過ぎ)、江戸の愛宕下にある伊予松山藩の上屋敷を二人の武家が出て、北への道を足早に歩いていった。』という文章を読んで、すぐに買ってしまった。なぜか。
 お察しの通り、天保9年10月26日の天理教の立教直後の出来事が綴られているからである。教祖伝の背景を勉強したいものにとって、一読する価値はある一冊である。


 

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